騒音が止むのを静かに待つ健気な姿勢
私(康大地)の家の愛猫ミネは、究極の甘えん坊だ。しかし、現在は自宅のすぐ近くで工事が行われており、連日のように響き渡るドリルの音は、聴覚の鋭い彼女にとって相当なストレスになっているに違いない。
工事が始まると、ミネは決まって2つの「聖域」へと姿を消す。お気に入りの「イチゴのおうち」か、あるいは「こたつの中」だ。少しでも音を遮断しようと、彼女なりに考え抜いた防音対策なのだろう。丸くなって潜むその姿を見ていると、騒音が止むのを静かに待つ健気な姿勢に、少しだけ安堵を覚える。
ミネ特有の不思議なパトロール
だが、彼女はただじっと隠れているだけではない。日中、私が自室で仕事をしていると、階段を駆け下りてくる音が響き、部屋の前で「ニャーニャー」と熱烈なアピールが始まるのだ。騒音に耐えかねて、「ドアを開けて中に入れて!」と必死に訴えかけてくる。
その声に根負けしてドアを開けると、そこからミネ特有の不思議なパトロールが展開される。部屋に入るなり、まずは危険がないかを確認するようにそっと歩き回り、椅子の上にジャンプ。そして「ここは自分の縄張りだ」と言わんばかりに、全身をこすりつける。
しかし、その後の展開は実にあっけない。満足した瞬間にサッと部屋を出ていくこともあれば、あんなに催促したくせに、いざ開錠すると入らずに佇んでいることもある。不思議に思って私が顔を出すと、ハッとしたように二階へと逃げていってしまうのだ。
最大限の信頼の証
結局、私の部屋は工事の音が響きやすいため、彼女にとっては「大好きな主人はいるが、耳には優しくない場所」という、ジレンマに満ちた空間なのだろう。
そんな一進一退のやり取りを繰り返し、ようやく工事の音が止む夕刻――。家族がリビングに集合すると、昼間の静けさが嘘のような「ミネの運動会」が幕を開ける。
溜まったストレスを爆発させるかのように、彼女は家の中を弾丸のごとく走り回る。二階だけにとどまらず、器用にドアを開けては一階から三階までを縦横無尽に駆け抜けるのだ。
入るのか入らないのか、居座るのか去るのか。ミネの気まぐれな振る舞いに翻弄されることもあるが、騒音という逆境の中でもわざわざ私の部屋まで呼びに来てくれることが、何より嬉しい。たとえ滞在時間が数秒だったとしても、ドアの向こうで鳴く彼女の声は、私に対する最大限の信頼の証なのだから。
文=康 大地(こう だいち/韓流ジャーナリスト)
画像=Gemini



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