食べた瞬間に涼しくなる料理
コリアンタウンとして有名な東京の新大久保に来ると、食べたいものが本当にたくさんある。サムギョプサル、サムゲタン、チーズタッカルビ、スンドゥブチゲなど、よだれが出そうな美味しいものが頭に浮かんでくる。そんなわけで、新大久保では楽しみが本当に多いのである。
ただし、最低限必要なのは「とにかくお腹を空かしておくこと」。新大久保に来る時には絶食した状態にしておく、というのが一番いいかもしれない。それでこそ、どの店でも量が多い韓国料理をたっぷりと堪能できるのである。
それから、新大久保にある韓国料理店は、客の要望にしっかり応えてくれるので、遠慮なくいろいろなことを頼んでも大丈夫だ。表面的に愛想があまりよくなくても、やることをきっちりやってくれるので、その点では心配がない。
しかし、もしも暑い日だったらどうする?
韓国料理の美味しい店ではアツアツのメニューが多い。そうなってくると、暑い時に食べる料理というのはおのずから限られてくる。しかし、強力な味方があった。そうなのだ、韓国料理の中でも「食べた瞬間に涼しくなる」という冷麺がピカイチなのだ。
噛めば噛むほど口の中に広がる味
韓国で冷麺は冬に食べるのが最適だと言われている。韓国的な陰陽五行説の考え方からいくと、夏はアツアツのサムゲタンを食べ、冬は冷え冷えの冷麺を食べることが身体のバランスには一番いいということになっている。しかし、それは韓国での話。日本では、そういうわけにはいかない。やはり、暑い時こそ美味しい冷麺を食べたいのだ。
そこで、新大久保にやってきて、私は大久保通り沿いに店を構えている「南大門」に入った。
ここの売りは水冷麺。さっそく注文してみた。
まもなく持ってきてくれた水冷麺は実に上品な味わい。具としては、キュウリ、リンゴ、大根の薄切りのキムチ、ゆで卵の半分などが入っている。そして、肝心の麺は細いのだが、しっかりとコシがある。まさに弾力性があるという感じ。
おかげで、噛めば噛むほど口の中に味が広がってくる。
そんな味の変化も楽しんでみよう。カラシや酢も入れてみると、食欲を大いに刺激されるほどに気分がよくなった。あっという間に麺がなくなったので、急いでお代わりをした。
バリエーションが多彩な料理
二杯目の冷麺も、やっぱりメチャ旨い。「南大門」の水冷麺はクセになる美味しさだった。
ところで、冷麺の中ではビビン麺もかなり人気が高い。これはコチュジャンや唐辛子を入れて辛く味付けをした冷麺のことである。
韓国料理には辛いものが多い。このビビン麺もまた、程よい刺激を持っている。ピリッとした辛さが麺にうまく絡まり、やみつきになるほどうまいのだ。
あっさりして辛くない水冷麺を選ぶか、それとも、辛いビビン麺を選ぶか。その日の気分によって私の選択は大きく変わってくるだろう。このように2つのまったく異なる味わいを楽しめるという意味でも、冷麺は本当にバリエーションが多彩な料理であると言える。
文・写真=マダム蘭(料理研究家)


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