パク・ウンビンの圧倒的な表現力
ここ数年の韓国ドラマでは、法廷を舞台にした作品が多くなってくる。そんな中で白眉だったのが『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』だ。2022年に旋風を巻き起こした話題作である。
ヒロインのウ・ヨンウは、難解な法律の条文を完璧にスラスラ覚えてしまうという、ずば抜けた頭脳の持ち主だ。彼女はトップクラスの法律事務所「ハンバダ」に新米弁護士として足を踏み入れ、周囲の温かいサポートを受けながら成長していく。その成長のプロセスがドラマで丹念に描かれていく。
この作品の魅力を牽引しているのは、間違いなく主演を務めるパク・ウンビンの圧倒的な表現力である。これまでも彼女は、『ストーブリーグ』や『恋慕』といったドラマで、味わい深い演技を披露してきた。そんな彼女は『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で一気に頂点に上り詰めたような感じだ。それほど表現力が素晴らしかった。
とっておきのメリット
それでは、特にどこが際立っていたのか。たとえば、第2話を例に取ってみよう。
この第2話は、豪華絢爛な結婚式の会場が題材となっていた。なんと、式の最中に新婦の純白のドレスがずり落ちてしまうという前代未聞のハプニングが発生してしまう。表面的には式場側の管理責任を問う裁判が進行していたが、アクシデントの裏側では、新郎新婦の両家が抱える「家族同士のしがらみ」が隠されていたのである。
普通なら、そこまで気が付かないものだ。しかし、ウ・ヨンウは違う。問題の本質を見抜いて、まったく別のアプローチでトラブルを解決しようとした。そのアイディアが本当にすばらしい。
そういう「ひらめき」が出るときは、ウ・ヨンウの大好きなクジラが躍動する姿が画面いっぱいに出てくる。そんなスリリングな映像もドラマを大いに華やかにしていた。
一方、第4話では肉親同士の財産争いが争点になった裁判が描かれた。わかりやすく言えば、3人の兄弟の間で起きた遺産相続で、2人の兄は一番下の弟が不利になるような財産分与を強行したのだった。こういうトラブルでも、不利になったウ・ヨンウは状況を根底から覆す証拠作りに励んでいって、裁判に新しい展開を持ち込んでいった。
最後にはウ・ヨンウに強烈に教えられる。どんなときでも諦めてはいけない、と。ドラマを楽しんだあとに人生の教訓を得られるのも、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のとっておきのメリットなのである。
有効な引き出しの多い女優
それにしても、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を見ていて本当に痛感したのは、パク・ウンビンという女優の表現力の豊かさである。まさに自分を「七変化」させられるほどの多彩な才能を持っている。
例えば、彼女は『恋慕』というドラマにおいて、強い意志を感じさせる世子(セジャ:王位継承者)の姿を凛々しく演じていた。表向きは冷淡なほどの性格を見せるのだが、本当は深い愛情を持った女性である。しかし、男装して世子に扮している以上は、決して周囲に甘いところを見せるわけにはいかない。そうした複雑で内面的な葛藤を抱える役どころを、パク・ウンビンは本当に巧みに演じきっていた。
この『恋慕』の世子と『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の弁護士。二つの主人公を演じたパク・ウンビンは、「まるで2人いるのか」と思えるほどだった。つまり、彼女は女優としてそれぞれ別人格であるかのような感性を見せていたのだ。そういう意味でも、パク・ウンビンは有効な引き出しの多い女優だと言えるだろう。
文章執筆=康 大地(こう だいち/韓流ジャーナリスト)
画像=Gemini



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