『愛の不時着』でソン・イェジンが演じたヒロインの変身ぶりが見事!

韓流

大ヒット作『愛の不時着』において、ソン・イェジンが演じきったヒロインの存在感は圧倒的である。彼女が扮したユン・セリは、きわめて強烈な個性を放つキャラクターであった。

巨大財閥のトップを実の父に持ちながらも、彼女の生い立ちは決して恵まれたものではない。愛人の娘として生を受けたため、正妻の子供である異母兄弟たちからは激しい憎悪を向けられていた。常に孤独で冷え切った家庭環境の中で、彼女は必死に生き抜いてきた。しかし、泣き寝入りするような弱い女性ではない。優れたビジネスセンスを発揮し、自らの事業を完璧に成功させるほどの絶対的な実力を持っていたのである。

セリはついに、厳格な父親から巨大グループの正式な後継者として指名を受ける。しかし、運命の歯車は思わぬ方向へ狂い始める。自らテストしたパラグライダーが突風に巻き込まれ、あろうことか軍事境界線を越えて北朝鮮の領土へ墜落してしまったのだ。

絶望的な状況下で彼女が遭遇したのが、ヒョンビン演じる北朝鮮のエリート将校リ・ジョンヒョクである。本来なら命の危険すらある極限状態だ。にもかかわらず、生まれ持ったお嬢様気質とわがままな性格は少しも変わらなかった。まったく勝手の違う地においても、彼女は空気を読まない自由奔放な言動を連発する。その結果、誠実で心優しいジョンヒョクを幾度となく途方に暮れさせてしまう。

物語の前半部分を振り返ると、セリのあまりに身勝手な振る舞いばかりが印象に残る。周囲を振り回す、現実離れしたエゴイストぶりであった。

しかし、ストーリーが進行するにつれて、彼女の内面には劇的な変化が生じていく。絶対に脱出不可能と思われる自身の過酷な運命を、徐々に受け入れざるを得なくなったのだ。それと同時に、命がけで自分を守り抜いてくれるジョンヒョクへの深い愛情が芽生える。その無償の愛に触れることで、彼女の尖りきった人間性は見事に研ぎ澄まされ、洗練されていったのである。

やがて物語は後半へ突入する。無事にソウルへと帰還を果たした彼女は、もはやかつての傲慢な令嬢ではなかった。他者の痛みに寄り添い、相手の細やかな感情を深く汲み取ることができる女性へと生まれ変わっていたのだ。

ドラマの序盤で見せていた冷徹なセリの面影は、そこには微塵も残っていない。まるで魂が入れ替わったかのような、劇的で美しい変貌ぶりであった。

文=「エンタメオアシス」編集部

画像=tvN

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